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ウエストナイル熱・脳炎Q&A

情報内容は厚生労働省発表を引用しております
更に詳しい情報を知りたい方は厚生労働省のホームページを参照に

今般、ウエストナイル熱・脳炎に対する正しい知識と現状について理解を深めていただきたく、厚生労働省において、次のとおりウエストナイル熱・脳炎に関するQ&Aを作成しました(平成14年10月23日)。今後、ウエストナイル熱・脳炎に関する知見の進展等に対応して、逐次、本Q&Aを更新していくこととしています。なお、米国疾病対策予防センター(CDC)も、ウエストナイル熱・脳炎に対するQuestions and Answersを作っていますので、お知らせします。右記アドレスより参照できます。

内容 ウエストナイルウイルスについて
感染経路について
症状について
予防・治療について
ウエストナイル熱の診断・治療ガイドライン

ウエストナイルウイルスについて

Q ウエストナイルウイルス、ウエストナイル熱、ウエストナイル脳炎とは、何ですか。

A ウエストナイルウイルスは、ウイルス学的にはフラビウイルス科フラビウイルス属という分類がなされます。このウイルスは、日本脳炎ウイルスと極めて近い関係にあるウイルスです。アフリカ、西アジア、中東、ヨーロッパ、北米で見つかっています。蚊が媒介して、ヒトのほか、トリ、ウマなどの動物への感染がわかっています。
ウエストナイル熱は、インフルエンザ様の症状で、比較的軽症の病気です。ほとんどの患者さんは数日から一週間以内で回復します。このウイルスが脳に感染して、さらに重篤な状態が、ウエストナイル脳炎です。

Q ウエストナイル熱・脳炎は、これまでどこで報告されていますか。また日本でも報告されていますか。

A ウエストナイル熱・脳炎は、従来アフリカ、ヨーロッパ、西アジアで患者発生報告がありました。アメリカ大陸での患者発生はありませんでしたが、1999年アメリカ合衆国のニューヨーク市周辺での流行が報告されたことから、大きな注目をあつめるようになりました。近年の主な流行は以下の通りです。

■イスラエル:1951-1954, 1957, 2000年
■フランス:1962, 2000年
■南アフリカ:1974年
■ルーマニア:1996年
■イタリア:1997年
■ロシア:1999年
■アメリカ合衆国:1999−2002年
現在のところ、日本においては輸入症例、国内感染の報告いずれもありません。


感染経路について

Q ウエストナイルウイルスはどのようにして感染しますか。

A ウエストナイルウイルスは自然界においては、トリと蚊の感染サイクルで維持されています。ヒトはウエストナイルウイルス感染蚊に刺されることにより感染します。媒介蚊は、イエカやヤブカ等で、これらの蚊は日本にも生息しています。通常、ヒトからヒトへの直接感染はありません。

Q 蚊以外からウエストナイルウイルスが感染することはありますか。

A 最近の米国での流行で、移植された臓器および輸血を介しての感染を疑わせる報告がありました。事実関係については、現在、米国の研究機関等において確認作業が進められているところです。

 我が国においては、輸血用血液の安全性確保のため、米国等から一ヶ月以内に帰国した方が献血をされる際に、ウエストナイル熱に関連した症状の有無などについて健康状態を十分に確認し採血を行っています。また、血漿分画製剤についても、現在行われているウイルス不活化処理はウエストナイルウイルスに対しても十分に対応できるものと考えられています。

 臓器移植がウエストナイルウイルスの感染経路である可能性は否定されておらず、また移植時の患者の免疫力と関係がある可能性も指摘されています。一方、角膜移植についてはこれまで感染例もなく低リスクと考えられています。また、骨髄移植およびさい帯血移植については感染経路となる可能性は否定できませんが、これまで感染例は報告されておりません。いずれにせよ、ウエストナイルウイルスのこれらの感染経路についてはいまだ明らかにされておらず、今後とも内外の情報に注意しながら、適宜対応していく必要があります。

Q ウエストナイルウイルスは、母乳を介して感染しますか。

A 最近の米国での流行においてウエストナイルウイルスが、母乳を介して感染した可能性があるとされる1例の報告がなされました。(この感染経路については米国で現在調査中ですので、今後の報告に注意する必要があります。)しかし、授乳については、米国疾病対策予防センター(CDC)は「現在の知見では、母乳による育児を勧める方針を変更する必要性は示されていない」としています。もちろん、母親に何らかの症状がある場合には、医療機関への受診をおすすめします。


症状について

Q ウエストナイルウイルスにかかった時はどのような症状がでますか。

A ほとんどの人(約80%)は無症状です。感染した人のうち、2割程度がウエストナイル熱になると考えられており、発熱、頭痛、筋肉痛や、時に発疹、リンパ節の腫れが見られますが、症状は軽度です。
 ウエストナイル脳炎になり重症化すると、激しい頭痛、意識障害、痙攣、筋力低下、麻痺などを示します。

Q ウエストナイルウイルスに感染した蚊に刺されたら、どの位で症状がでますか。

A たとえ感染した蚊に刺されても、すべてのヒトが感染するとは限らず、また感染したとしても症状が出るのは、2割程度です。その際に症状が出るまでの期間は、2〜14日(普通2〜6日)です。

Q ウエストナイル熱・脳炎の症状は通常どの位続きますか。

A ウエストナイル熱では1週間以内で回復しますが、脳炎など重症になると数週間続き、まれに後遺症が残ることもあります。

Q ウエストナイル熱・脳炎のような症状が出たらどうしたらよいですか。

A まずかかりつけの医師などに相談して下さい。もし、高熱、激しい頭痛、意識障害、筋力低下などが出た時は急いで医療機関を受診してください。

Q どのような人がウエストナイル脳炎にかかりやすいのですか。

A ウエストナイルウイルスが蔓延しているところに住んでいる人は誰でもかかる危険性がありますが、特に高齢の人は重症になりやすいといわれています。

Q ウエストナイルウイルスに感染して重症となるのはどれ位の割合ですか。

A 感染した人の約80%は無症状で終わり、重篤な症状を示すのは、感染した人の約1%といわれています。重篤な患者は主に、高齢者にみられ、重症患者の3〜15%が死亡するといわれています。


予防・治療について

Q ウエストナイルウイルスの感染を予防するにはどうしたらいいですか。

A 蚊に刺されないようにすることが予防となり、以下のことが勧められています。

・露出している皮膚への蚊除け剤の使用
・戸外へでるときは、できる限り長袖、長ズボンを身につける
・網戸の使用など

また蚊は、バケツ、古タイヤなど、ちょっとした水溜りにも卵を産むので、蚊の発生を減らすために、これらの水を空にするよう
心がけましょう。

Q ウエストナイルウイルスに対するワクチンはありますか。

A ウエストナイルウイルスに対するワクチンは、今のところありません。

Q ウエストナイル熱・脳炎の治療方法はありますか。

A ウエストナイル熱・脳炎に対する特効薬はなく、症状を軽減する治療が中心となります。


国立感染症研究所ウイルス第一部 倉根一郎
病原体:ウエストナイルウイルス
好発年齢:脳炎は高齢者に多い
性差:なし
分布:アフリカ、中近東、西アジア、ヨーロッパ、北アメリカ
好発時期:温帯地域においては夏季

感染経路:感染蚊が刺すことによる
潜伏期間:2〜14日(通常2〜6日)
感染期間:
発熱2日前から発熱4日後までは、血中にウイルスが認められることがあるが、直接の感染源となることはないと考えられている。
通常は、急性感染であると考えられている。

症状:
ウエストナイル熱:突然の発熱(39度以上)、頭痛、筋肉痛、時に消化器症状、発疹(胸、背、上肢)
ウエストナイル脳炎:筋力低下、頭痛、意識障害、痙攣

オーダーする検査:
特異的IgMとIgGの検索(ELISA、中和試験)
ウイルス分離
ウイルス遺伝子の検出(PCR)

確定診断のポイント:
発症2〜14日前に、流行地への渡航歴
臨床症状:発熱、頭痛、筋肉痛、発疹、筋力低下、意識障害
ウエストナイルウイルスが血液あるいは脳脊髄液から分離される。
ウエストナイルウイルス遺伝子が血液あるいは脳脊髄液中に検出される。
ウエストナイルウイルス特異的IgMが血液あるいは脳脊髄液中に検出される。
ウエストナイルウイルス特異的IgG(中和法で確認する)が血液中に検出され、ペア血清において4倍以上の上昇が確認される。

注意
なお、特異的IgM、中和抗体とも日本脳炎ウイルスと交叉するので、日本脳炎ウイルスに対するよりも高値であることを確認する必要がある。
IgMにおいてもペア血清で上昇を確認することが望ましい。

治療のポイント:対症療法のみ

報告の基準:
診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下のいずれかの方法によって病原体診断や血清学的診断がなされたもの。
病原体の検出:ウエストナイルウイルスが血液あるいは脳脊髄液から分離される。
遺伝子の検出:ウエストナイルウイルス遺伝子が血液あるいは脳脊髄液中に検出される。
抗体の検出:ウエストナイルウイルス特異的IgMが血液あるいは脳脊髄液中に検出される。
抗体の検出:ウエストナイルウイルス特異的IgG(中和法で確認する)が血液中に検出され、ペア血清において4倍以上の上昇が確認される。

注意
なお、特異的IgM、中和抗体とも日本脳炎ウイルスと交叉するので、日本脳炎ウイルスに対するよりも高値であることを確認する必要がある。
IgMにおいてもペア血清で上昇を確認することが望ましい。

ウエストナイルウイルスの分布地域

1.ウエストナイル熱の背景

1)疫学状況
従来アフリカ、ヨーロッパ、西アジアでの患者発生報告があった。アメリカ大陸での患者発生はなかったが、1999年アメリカ合衆国のニューヨーク市周辺での流行が報告されたことから、大きな注目を集めるようになった。
 近年の主な流行は以下の通りである。
イスラエル:1951-1954, 1957, 2000年
フランス:1962, 2000年
南アフリカ:1974年
ルーマニア:1996年
イタリア:1997年
ロシア:1999年
アメリカ合衆国:1999−2002年
日本においては輸入症例の報告、国内感染いずれもない。

2)病原体
フラビウイルス科フラビウイルスに属するウエストナイルウイルス(West Nile virus)。
1937年アフリカのウガンダWest Nile地方で熱発患者から分離された。

3)感染経路
ウエストナイルウイルスは自然界においては、トリと蚊の感染サイクルで維持される。
ヒトはウエストナイルウイルス感染蚊に刺されることにより感染する。
媒介蚊は、イエカ、ヤブカ等である。
ヒトからヒトへの感染はない。
 なお、輸血、臓器移植、母乳を介しての感染を疑わせる報告がある。(この感染経路に関しては現在米国で調査中であり、本感染経路の重要性については今後の報告に注意する必要がある)。

4)潜伏期
2〜14日(普通2〜6日)
感染の進展は完全には解明されていないが以下のように考えられている。
ウイルスはまず、皮膚や所属リンパ節で増殖し、1次ウイルス血症をおこす。次に網内系において増殖し、2次ウイルス血症をおこし中枢神経に到達する。

2.診断と治療

1)臨床症状
ウエストナイル熱は突然の発熱(39度以上)で発症する。3-6日間の発熱、頭痛、背部の痛み、筋肉痛、食欲不振などの症状を有する。約半数で発疹が胸部、背、上肢に認められる。リンパ節腫脹も通常認められる。症状は通常1週間以内で回復するが、その後倦怠感が残ることも多い。
脳炎は上記症状とともにさらに重篤な症状として、激しい頭痛、方向感覚の欠如、麻痺、意識障害、痙攣等の症状を呈する。
米国の例では筋力低下が約半数に認められる。

2)検査所見
末梢血中の白血球数正常あるいは軽度増加。リンパ球数低下。
脳炎患者においては脳脊髄液中のリンパ球数増加、蛋白増加、糖正常。

3)診断
上記臨床症状を有する急性熱性疾患、脳炎および実験室診断。
実験室診断として以下のいずれか:
ウエストナイルウイルスが血液あるいは脳脊髄液から分離される。
ウエストナイルウイルス遺伝子が血液あるいは脳脊髄液中に検出される。
ウエストナイルウイルス特異的IgMが血液あるいは脳脊髄液中に検出される。
ウエストナイルウイルス特異的IgG(中和法で確認する)が血液中に検出され、ペア血清において4倍以上の上昇が確認される。

注意
なお、特異的IgM、中和抗体とも日本脳炎ウイルスと交叉するので、日本脳炎ウイルスに対するよりも高値であることを確認する必要がある。
IgMにおいてもペア血清で上昇を確認することが望ましい。

4)鑑別診断
ウエストナイル熱
発疹を有するデング熱等他のウイルス性疾患。
ウエストナイル脳炎
他のウイルス性脳炎(他のアルボウイルス、ヘルペスウイルス、エンテロウイルス、アデノウイルス、ムンプスウイルス、サイトメガロウイルス、EBウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、ヒト免疫不全ウイルスによる脳炎等)

5)治療
対症療法のみ

6)経過、予後
感染例の約80%は不顕性感染に終わり、重篤な症状を示すのは、感染者の約1%といわれている。重篤な患者は主に、高齢者にみられ、致命率は重症患者の3〜15%とされる。
ウエストナイル熱は予後良好。通常1週間以内で回復するが、その後倦怠感が残ることもある。

7)2次感染予防・感染の管理
ワクチンはない。
ウイルス侵淫地域では蚊との接触を避ける。


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