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 1.慢性骨髄増殖性疾患とは
 2.症状
 3.診断
 4.治療
 5.病期
 6.合併症
 7.予後

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慢性骨髄増殖性疾患(まんせいこつずいぞうしょくせいしっかん)

1.慢性骨髄増殖性疾患とは


血液中には、酸素を運ぶ役割をする赤血球や、感染防御をする白血球や、出血を止める働きをする血小板という細胞が含まれています。これらの赤血球、白血球、血小板は、骨の中心にあるゼラチン様の骨髄で造られ、血液中で一定の数に保たれています。出血や感染などの身体の変化に対応して、赤血球、白血球、血小板の数値は変化することもありますが、身体が正常に戻ると検査値も正常化します。しかし、骨髄の働きが病的に盛んになって、赤血球または白血球、あるいは血小板が増加することがあります。これらの病気を総称して、骨髄増殖性疾患と呼びます。骨髄の細胞が増殖するという意味で、急性白血病を骨髄増殖性疾患の急性型に入れたり(急性白血病については「急性骨髄性白血病(成人)」の項を参照して下さい)、骨髄の異形成の増殖という点で骨髄異形成症候群も骨髄増殖性疾患に含む場合もあります。一般的には、慢性の経過をとるものを総称して慢性骨髄増殖性疾患と呼んでいます。

慢性骨髄増殖性疾患には、真性多血症、慢性骨髄性白血病、本態性血小板血症、特発性骨髄線維症の4つの病型があります。真性多血症では赤血球の増加が著しくなり、本態性血小板血症では血小板が著しく増加することが特徴です。また、特発性骨髄線維症では、骨髄の線維化によって造血が正常に行われず、脾臓などの骨髄以外のところで髄外造血によって血液が造られるようになります。

慢性骨髄増殖性疾患は、アメリカでは真性多血症、本態性血小板血症、特発性骨髄線維症のいずれの病型でも100万人あたり数人といわれていますが、わが国での発症頻度は明らかではなく、まれな疾患といえます。

2.症状

真性多血症では、赤血球が増加することにより顔が赤ら顔となります。白血球に含まれるヒスタミンという物質などの放出によって全身にかゆみが生ずる場合もあります。多くの場合、自覚することはありませんが、脾臓がはれています。

本態性血小板血症では、増加する血小板の働きが亢進する場合と低下する場合があり、それぞれ血栓症や出血症状があらわれることがあります。すなわち、血管がつまることによっていろいろな症状が発生し、痛みや冷感を伴ったり、紫斑と呼ばれる青あざなどが生じます。

骨髄線維症では、病気の進行によって貧血が生じたり、脾臓がはれることにより腹部が張ったりする症状が出ることがあります。

慢性骨髄増殖性疾患では、全く症状のない場合もあります。赤血球、白血球、血小板の算定は、採血さえすればどこででもできる簡単な検査なので、健康診断や病院を受診した際に血液検査の結果によって慢性骨髄増殖性疾患が疑われることもあります。

3.診断

慢性骨髄増殖性疾患は、症状のはっきりしない人も多く、血液検査の異常値によってこの病気が発見されることもあります。

真性多血症は、赤血球数の増加がみられることから疑われます。赤ら顔の小太りの中年の人で、糖尿病や痛風を患っている人では、赤血球が見かけ上増加していることもあり、相対的赤血球増加症と呼ばれています。赤血球増加症は、心臓疾患、肺疾患、腎疾患などによって生ずることもあります。それぞれを区別するために、放射性同位元素や色素などにより循環赤血球量を測定したり、動脈の酸素濃度を調べたり、超音波検査などによって脾臓がはれているかどうかを調べます。真性多血症では、多くの場合、白血球や血小板も少し増加しています。ビタミンB12や好中球アルカリフォスファターゼスコア(白血球を染色してそのパターンを算定する検査)なども測定し、診断基準にしたがって診断が確定されます。赤血球系の造血ホルモンのひとつであるエリスロポエチンは、真性多血症では低下しているため、エリスロポエチンを産生するような腎がんや肝臓がんなどのまれな場合に合併する赤血球増加症との鑑別診断の参考になります。

本態性血小板血症は、骨髄での血小板産生が盛んに行われ、血小板数が100万以上になることが特徴です。しかし、特異的な検査がないため、慢性骨髄性白血病などの他の慢性骨髄増殖性疾患を除外し、がんや鉄欠乏性貧血や各種の感染症などによる二次性の血小板増加症との鑑別が必要です。

特発性骨髄線維症では、軽度の白血球増加が見られ、血液をガラス板に広げ染色して顕微鏡で観察すると、その血液像で通常は血液中には見られない骨髄に存在する幼若な白血球や赤血球の若い細胞である赤芽球が出現します。また、正常の赤血球は丸く平たい形をしていますが、特発性骨髄線維症では、赤血球が涙滴のように変形します。多くの場合脾臓もはれています。胸骨や骨盤骨に針を刺して骨髄を採血する通常の骨髄穿刺検査では、骨髄が採取されにくく、骨髄を組織として採取する生検により骨髄の線維化が確認されて診断されます。他の慢性骨髄増殖性疾患でも二次的に骨髄の線維化がおこりますので、鑑別が必要になることもあります。

4.治療

慢性骨髄増殖性疾患を治すことは困難ですが、検査値を正常に近づけるような治療により、合併症もなく外来通院で、長い間普通の日常生活を送ることが可能です。

真性多血症では、赤血球数の増加により血管がつまって血栓症が生じたり、心不全になる可能性があるため、初診時の検査値によっては、点滴で水分を補給しながら200〜400mlくらいの採血を繰り返す瀉血(しゃけつ)を行うこともあります。この瀉血を繰り返すことによって、鉄分が不足した鉄欠乏の状態になり、爪が変形したり、脱力感が生じたりすることがあります。ヘマトクリット(血液中の赤血球成分の割合)を45%くらいに保つことによって血栓症や出血による症状を防ぐことができますので、多くの場合は、瀉血をする場合でも、同時に経口剤を併用したり、注射をして赤血球の産生を抑え、赤血球数をコントロールします。これらの治療は検査値を見ながら行いますので、必ずしも長期間続けるわけではなく、断続的に繰り返すことがよくあります。

本態性血小板血症では、血小板数を減らすために経口剤や点滴注射を行います。また、機械により自動的に採血した血液を遠心し、血小板のみをとり除いて再び身体に戻すような成分採血による血小板除去を行うこともあります。血小板数と出血や血栓症などの合併症との間に明らかな関係は認められていませんが、血小板数を60万以下にコントロールすることによって血栓症を減らすことができたという報告もあります。血小板の機能を抑えるために血小板凝集抑制作用のある薬剤を併用することもあります。これらの治療を断続的に繰り返したり継続しながら血小板数をコントロールします。

特発性骨髄線維症で、全く症状がなく検査値も正常に近い場合は治療の必要はありませんが、貧血が進むようになると輸血をしたり、造血を促進する作用のあるタンパク同化ホルモン剤を用いることもあります。また、経過によっては、副腎皮質ホルモン剤を用いることもあります。脾臓が非常に大きくはれている場合は、手術によって脾臓をとり除くこともあります。

急性骨髄線維症と呼ばれる疾患は、骨髄の線維化も伴いますが、むしろ急性巨核芽球性白血病の亜型と考えられています。

5.病期


慢性骨髄性白血病を除く慢性骨髄増殖性疾患には、はっきりとした病期はありません。しかし、長く経過した真性多血症と本態性血小板血症では、赤血球、白血球、血小板数のすべてが減少し、骨髄も線維化することがあり、このような病状を消耗期と呼ぶことがあります。

6.合併症

真性多血症を治療しなかった場合は、血栓症や心不全が生ずる場合があります。

本態性血小板血症で、60歳以上の人や過去に脳梗塞、心筋梗塞などの既往のある人は、血栓症がおこりやすい可能性があります。

特発性骨髄線維症で、血小板が減少してくると出血症状があらわれることがあります。このような場合は血小板輸血が必要になることもあります。

7.予後

慢性骨髄増殖性疾患では、治療の前の検査値の異常が著しい時期に合併症がおこりやすい可能性があります。しかし、治療によって赤血球、白血球、血小板などの検査値が安定していると多くの場合、全く症状もなく通常の日常生活を送ることができます。

慢性骨髄増殖性疾患の経過は、比較的ゆっくりで、慢性骨髄増殖性疾患以外の病気で亡くなる人も含めて、半分の方が亡くなる生存中央値と呼ばれる期間は、真性多血症で10年、本態性血小板血症で5年以上、骨髄線維症で3〜4年といわれています。まれに急性白血病に変化していくことがあります。
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