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 1.慢性骨髄性白血病とは
 2.症状
 3.診断
 4.病期
  • 慢性期
  • 移行期
  • 急性転化期
  • 髄膜白血病
 5.治療
  • 慢性期
  • 移行期
  • 急性転化期
  • 髄膜白血病
 6.治癒率
  1. 慢性期
  2. 移行期
  3. 急性転化期および髄膜白血病

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慢性骨髄性白血病(成人)まんせいこつずいせいはっけつびょう(せいじん)

1.慢性骨髄性白血病とは

白血病とは、骨髄中あるいは末梢血(体内を流れている血液)中に異常な白血球が無制限に増加する病気で、血液の悪性腫瘍(がん)です。骨髄は骨の中にあるスポンジ状の組織で、血液細胞(赤血球、白血球、血小板)を造る場所です。赤血球は酸素を体中の組織に運搬し、白血球は病原体と戦い、血小板は血液を固めて出血を止める働きをもっています。白血球は、さらに顆粒球とリンパ球に分けられます。白血病は、病気の進行する速度により急性と慢性、異常な白血球の種類により骨髄性(顆粒球系)とリンパ性に分類されます

一般に白血球は、芽球(がきゅう)と呼ばれる未熟な細胞が骨髄中で分化(未熟な細胞が成熟した細胞になること)し、成熟した白血球となって骨髄から末梢血へ出ますが、その数は一定の範囲内に調節されています。白血病、特に急性白血病では、腫瘍化した芽球が正常細胞のように分化せず、しかも無制限に増加します。また急性白血病では未熟な白血病細胞のみ増加しますが、慢性骨髄性白血病では骨髄および末梢血中の白血球の一種である顆粒球と血小板が異常に増加します。

慢性骨髄性白血病が発症する原因は十分に究明されていませんが、他の白血病と同様に大量の放射線の被曝によって発症が増加することが、原爆の被爆者の方や放射線治療を受けた方に対する調査によって明らかになっています。

慢性骨髄性白血病の発病はすべての年齢層におこりえますが、中年以降に多くみられます。頻度は男女間であきらかな差はなく、わが国における統計では、白血病全体に占めるこの病気の割合は17%と欧米に比較して少ない傾向にあります。

2.症状

病気の初期では、多くの場合無症状です。現在は健診が普及したためにこの時期に偶然に病気が発見される方が増えています。白血球数の増加の程度は、発見された時期によって差がありますが、一般に末梢血1mm3あたり数万〜十数万と異常高値を示します。

白血球数が増加するにしたがって、全身倦怠感などの症状が出現することがあります。また、脾臓(左上腹部にあり、血液中から古くなった血液細胞を除去する臓器)が腫大することによって、腹部の膨満感もしばしばみられます。

急性白血病と異なり、貧血症状、出血傾向、感染症の合併が初診時にあらわれることはまれです。

3.診断

白血病が疑われた場合、まず血液検査を行い、血液の細胞を顕微鏡で詳しく調べ、各成熟段階の白血球の数を調べます。次に骨髄穿刺(こつずいせんし)という骨髄の検査を行います。骨髄穿刺は、皮膚を消毒し局所麻酔の後に、胸骨(胸の中央にある骨)または腸骨(腰の骨)に骨髄穿刺針という細い針を刺し、骨の中にある骨髄液を注射器で吸引し採取します。この骨髄の細胞を調べ、一部は染色体や遺伝子の検査などに使用します。これらの検査の結果、どの種類の白血病であるか診断できます。

慢性骨髄性白血病と診断された後、全身の検査も行います。脾臓の腫大の程度をみるために、腹部超音波(エコー)あるいは腹部CT(断層撮影)などの検査も行います。同時に、治療を受けるために重要な臓器に異常がないかも検査します。

4.病期

慢性骨髄性白血病はゆっくりと進行する疾患ですが、その進行の程度により3つの病期に分けられます。また、髄膜白血病という状態もあります。
1)慢性期
白血球数は増加していますが、芽球と呼ばれる未熟な白血球の割合は少なく、この時期は数ヶ月〜数年間続きます。無治療では、必ず急性転化期に移行していきます。
2)移行期
慢性期と急性転化期の間の病期で、骨髄や末梢血中の芽球の割合がやや増加し、治療による白血球数のコントロールが困難になったり、脾臓の腫大が進行したりします。また、貧血、出血傾向、発熱が出現することもあります。移行期を経ないで慢性期から直接急性転化期に移行する場合もあります。
3)急性転化期
骨髄、末梢血中の芽球が30%以上に増加します。芽球期、急性期とも呼ばれます。慢性期と同じような化学療法(抗がん剤治療)では白血球数のコントロールは困難です。白血病細胞が骨髄以外の場所、例えば骨やリンパ節に腫瘤(しゅりゅう)を形成することもあります。
4)髄膜白血病
脳や脊髄の周りにある脳脊髄液や髄膜にも白血病細胞が浸潤(しんじゅん:周囲に拡がること)している状態のことで、移行期や急性転化期にはおこることがありますが、通常慢性期にはみられません。

5.治療

慢性骨髄性白血病の治療法は病期、年齢、状態などに基づいて計画されます。グリベックという有望な新しい治療薬がわが国でも使用できるようになり治療方法が変わりつつありますが、長期にわたる有効性についてはまだ結論がでていません。このため、治療に関する新しい情報に気を配り、時々担当医に確認するとよいでしょう。また、重要な治療方針の決定に際しては、他の施設の医師にも意見を聞いてみることが大切です。他の施設の医師の意見(セカンド・オピニオン)を聞くことは納得のいく治療を受けるために必要なことで、一般的なことになりつつあります。
1)慢性期
白血球数のコントロールや巨大化した脾臓を小さくする目的で、特に初期にはハイドロキシウレアという抗がん剤がしばしば用いられますが、この方法では急性転化期への移行をとめることができません。インターフェロンを用いると病気の進行を遅らせたり、ときに白血病細胞が消失した状態にすることができるので、従来は初回治療として広く行われていました。しかし、これらの方法で治癒を期待できるのはごくわずかの方です。治癒を期待できる確立した治療法としては造血幹細胞移植療法が唯一の方法とされてきました。しかし、移植では大量の抗がん剤、全身放射線照射や免疫抑制剤を使用する必要があるため副作用も強く、若くて状態のよい方しか移植を受けることができませんでした。これに対して、近年「ミニ移植」という方法が開発され、60歳代の高齢者や重篤な合併症がある方にまで行えるようになりつつあります。さらに、新しく市販される薬剤であるグリベックは、短期間に高い有効性が得られると期待されています。以上を考慮した上で、治療計画が立てられます。
(1) 化学療法(ハイドロキシウレアなど)
化学療法は抗がん剤を用いる治療法です。白血球数など血液の状態を正常に維持したり、腫大した脾臓を小さくする目的で、主にハイドロキシウレアという内服の抗がん剤を継続して使用します。これにより慢性骨髄性白血病の90%以上の方で白血球数などが正常になりますが、数年のうちに急性転化期に移行します。なお、この薬剤の副作用としては、ときに口や胃があれることがあり、まれに間質性肺炎がおこることが報告されています。
(2) インターフェロン療法
インターフェロンは、さまざまな刺激によって分泌される生体内にもともと存在する物質で、α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)型の3種類があります。インターフェロン・αを毎日皮下、あるいは筋肉注射することによって、よく治療が効いた場合には、何年も病気の進行を遅らせたり、白血病細胞が消失した状態になることがわかってきました。このため、造血幹細胞移植がすぐに受けられない場合の第一選択治療とされてきました。しかし、半年たっても通常の血液検査で反応が見られない場合や、1年たっても異常な染色体(フィラデルフィア染色体)をもった白血病細胞の比率が減らない場合には、あまり有用性が期待できません。また、インターフェロンを造血幹細胞移植の直前まで使用していると移植の成績が悪くなるという報告もあります。無効と判断された場合には他の治療への変更を検討する必要があります。

この注射は、採血や骨髄検査で治療の効きぐあいをみながら、白血球数をコントロールするように投与間隔や量を決めていきます。また、医師や看護師の指導のもとに、本人やご家族による家庭での自己注射が認められています。副作用として、感冒様症状(発熱、悪寒、筋肉痛、全身倦怠感、食欲不振など)がよく見られますが、消炎鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)を事前に服用したり、就寝前に注射するなどによりだんだんと慣れて、これらの副作用が出現しにくくなります。まれに抑うつ状態になることがあり、この場合は薬を中止する必要が生じることがありますので、周囲の方も注意する必要があります。また、インターフェロン単独で効き目が不十分の場合は、ハイドロキシウレアなどの抗がん剤の服用などを併用します。
(3) グリベック(製剤名:イマチニブ)
短期間のうちに高い有効性が期待できるとされていて、この薬の登場により慢性骨髄性白血病の治療選択は変わりつつあります。長期にわたる有効性はまだ確定していないので、どの時点でこの薬を用いるかに関しては、よく医師と相談してから決めることが大切です。今後近いうちに変わる可能性がありますが、現時点では、合併症がなくHLA(白血球の血液型)が完全に一致したドナーがいる40歳くらいまでの方では、同種造血幹細胞移植を受けることが優先されると一般的には考えられます。

グリベックの作用機序(薬の利き方)は以下のように考えられています。慢性骨髄性白血病は、造血幹細胞に相当するある細胞において染色体の異常な組み替えがおこります。9番目の染色体上に存在するabl遺伝子と22番目の染色体上のbcr遺伝子が、ある部分から互いに結合しあって、異常なタンパクをつくり出すことにより発症することが知られています。グリベックは、ablタンパクの特定の部位に結合して、異常なbcr/abl融合タンパクが機能するのを特異的に阻止することにより抗白血病剤として働きます。

内服薬で、副作用は比較的軽いのですが、嘔気・嘔吐、筋肉の痙攣(けいれん)や筋肉痛、まぶたのむくみや皮膚の発疹などが見られます。
(4) 造血幹細胞移植療法(ぞうけつかんさいぼういしょくりょうほう)
骨髄移植と呼ばれてきた治療法で、現時点では慢性骨髄性白血病の治癒を期待できる唯一の確立した方法です。はじめに、大量の化学療法または放射線療法との組み合わせによって、骨髄を含めた体内にあるすべての白血病細胞と正常の血液細胞を壊します。次に、白血球の型(HLA)がほぼ一致した骨髄提供者(ドナー)から正常な骨髄を採取します。ドナーは原則として兄弟または肉親ですが、血縁者にドナーがいない場合、骨髄移植推進財団による骨髄バンクでドナーを探すこともできます。最後に採取した正常の骨髄を、患者さんの静脈から輸血のように体内に入れ、破壊された骨髄と入れ換えます。このように血液細胞を他人の骨髄で入れかえる方法を同種骨髄移植と呼びます。

白血球数を増やす薬(顆粒球コロニー刺激因子、G-CSF)を数日間ドナーの方の皮下に注射すると、血液の源の細胞である造血幹細胞は、骨髄から全身の血管に流れ出てきます。これを成分献血と同じような方法で大量に集めて骨髄のかわりにすることができます。この方法による移植が同種末梢血幹細胞移植です。この方法を用いると、全身麻酔による骨髄採取は必要なくなり、ドナーの方の負担が減る可能性があります。さらに、へその緒の中に存在する造血幹細胞を骨髄のかわりに用いて行う移植が、臍帯血移植です。現在、さまざまなHLA型に対応できるように、たくさんの臍帯血が各地の臍帯血バンクで保管されています。

このように、血液の源の細胞を骨髄だけでなくいくつかの方法で確保できるようになったために、この治療法を受ける機会も増え、名前も造血幹細胞移植というほうが適切になりました。全身の状態が良好であれば、55歳くらいまでの方が造血幹細胞移植を受けることができます。

一方、最近になり、免疫抑制作用の強い薬をうまく使うことにより、必ずしも大量の抗がん剤や全身放射線照射を用いなくても、患者さんとドナーの血液細胞を入れかえることが可能であることがわかってきました。これは骨髄非破壊的移植(ミニ移植)という方法で、60歳代の高齢者や重篤な合併症がある方にまで移植が可能になりつつあります。現時点では、この治療法の安全性と有効性はまだ充分に確認されていないので、限られた施設で臨床試験としてのみ受けることができます。
2)移行期
次の治療法のいずれかを選択します。

(1) 化学療法(ハイドロキシウレアなど)
白血球数を下げ、慢性期に戻すことを目的とします。

(2) グリベック

これまでの臨床試験の成績によると、一部の患者さんで血液検査が正常化したり、慢性期に戻ったり、染色体異常が消失することが報告されています。このため、グリベックが使用されていない場合には有効な薬剤となると期待されます。
(3) 造血幹細胞移植
慢性期に比べると治癒率が低下します。

3)急性転化期
次の治療法のいずれかが選択されます。

(1) 化学療法(ハイドロキシウレアなど)
白血球数を下げ、慢性期に戻したり、症状を緩和することを目的とします。
(2) グリベック
これまでの臨床試験の成績によると、一部の患者さんで血液検査が正常化したり、慢性期に戻ったり、染色体異常が消失することが報告されています。このため、グリベックが使用されていない場合には有効な薬剤となると期待されます。
(3) 造血幹細胞移植
慢性期や移行期に比べると治癒率が低下します。
(4) 新しい治療法開発のために臨床試験への参加をお願いすることがあります。
(5) 腫瘤などがある場合は、症状緩和のために放射線療法が有効なことがあります。
4)髄膜白血病
次の治療法のいずれかが選択されます。
(1) 髄注
静脈内あるいは経口的に薬を投与した場合、脳脊髄液中への薬の移行がよくないので、腰椎(背骨の腰の部分)の間に針を刺して脳脊髄液に直接抗がん剤を注入することがあります。
(2) 脳および脊髄に対する放射線照射

6.治癒率

1)慢性期
(1) 化学療法(ハイドロキシウレアなど)
平均的な生存期間は4〜5年で、これだけでは急性転化までの時期を遅らせることは困難で、治癒はほとんど得られないと考えられています。
(2) インターフェロン療法
有効な場合では治療開始後半年くらいで効果があらわれ、ときに白血病細胞が消失します。多くの方で慢性期を延長する効果があります。これだけで治癒できるかどうかに関してはまだ結論が出ていません。
(3) グリベック
有効性は高く、これまでの欧米で行われた臨床試験の成績によると、インターフェロンが無効な場合でも3ヶ月以内に約90%の方において通常の血液検査が正常になり、6ヶ月程度で約30%の方では染色体異常も消失しています。しかし、このことが長期的な治癒につながるのか、また後に移植を行っても悪い影響がないのかなどに関しては、現時点ではわかっていません。他の薬剤との併用療法の有効性と安全性に関してもまだわかっていません。
(4) 造血幹細胞移植療法
移植をしてもすべての方が治るわけではありません。再発することもあれば、移植治療の合併症のために不幸にして亡くなられる方もいます。治癒率は、年齢やドナーの種類によって異なり、HLA一致の同胞(兄弟姉妹)がドナーの場合には50〜70%の治癒が期待できます。非血縁ドナーからの移植の成績は、HLA一致の同胞からの移植に比較するとやや劣ります。いずれも、診断後なるべく早く造血幹細胞移植を受けるほうが治癒する可能性が高いと考えられています。ただし、移植では抗がん剤の副作用、移植後の免疫反応(移植片対宿主病、GVHD)や重篤な感染などの治療関連死が10%〜20%の方におこりますが、その多くが移植後3ヶ月以内におこることは承知しておく必要があります。
(5) ドナーリンパ球輸注療法(DLI、DLT)
造血幹細胞移植後に慢性骨髄性白血病が再発してしまった場合に、成分献血とほぼ同様の方法で、同じドナーの方からリンパ球成分を採取して、これを患者さんに輸注すると、抗がん剤などを用いなくとも、約80%の方でまた長期の寛解状態(病気の細胞が消失した状態)にすることができます。現在は、骨髄バンクを介した非血縁からいただいた場合でもドナーの方からリンパ球をいただけるようになっています。ただし、移植片対宿主病(GVHD)や白血球が減ったりして重大な合併症が出現することがあるので、慎重に行われます。
2)移行期
造血幹細胞移植療法では30〜40%の方に治癒が期待できますが、これ以外の従来の治療では、結局は次に述べる急性転化期に移行し、移行期と診断されてからの平均生存期間は1年以下とされています。

欧米の臨床試験の成績では、グリベックによる治療を行うと約60%の方で通常の血液検査が正常になり、約20%の方で慢性期に戻り、約15%の方では染色体異常も消失します。効果は治療開始後1〜3ヶ月くらいで見られ、約60%の方で9ヶ月もの間病気の進展が見られなくなりました。
3)急性転化期および髄膜白血病
造血幹細胞移植療法では約10%の方が治癒を期待できますが、これ以外の従来の治療での平均生存期間は6ヶ月未満とされています。

欧米の臨床試験の成績では、グリベックによる治療を行うと急性転化期における効果は治療開始後約1ヶ月で見られ、約20%の方で慢性期に戻り、約5%の方では染色体異常が消失しました。ただし、病気が治癒するかに関してはまだわかっていません。
情報掲載内容について
情報提供:国立がんセンター 情報委員会
URL 〔 http://www.ncc.go.jp/jp/index.html 〕
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