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| 急性りんぱ性白血病(成人)きゅうせいりんぱせいはっけつびょう |
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1.急性リンパ性白血病とは
急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemiaあるいはacute lymphoblastic leukemia:ALL)は一般的に「血液のがん」といわれる白血病のひとつです。白血病にはいくつかの種類があり、病気の進行速度や出現する症状により急性白血病と慢性白血病に分けられます。また、白血病は悪性化した細胞の種類により、リンパ性白血病と骨髄性白血病に分けられます。急性リンパ性白血病は、悪性化した未熟なままのリンパ球が著しく増加する病気です。
血液細胞には白血球と赤血球、血小板があります。白血球はさらに形や機能の違いから、リンパ球、好中球、好酸球、好塩基球と単球に分けられます。血液細胞は骨髄やリンパ節で造られています。骨髄とは血液の工場で、骨の中にあるスポンジのような組織です。血液細胞である白血球と赤血球および血小板は、この骨髄の中で造られて血液に出てきます。それぞれの細胞は役割を担っています。白血球は細菌やウイルスなどと戦い、赤血球は身体に酸素などを運びます。また、血小板は血栓をつくり、毛細血管からの出血を防ぐ働きをします。
リンパ系組織は、全身に広がる血管のような細い管であるリンパ管と、リンパ管に介在するリンパ節で成り立っています。リンパ管には、リンパ球を含んだ透明のリンパ液が流れています。リンパ節は小さな豆のような形をした器官で、全身に分布していますが、特にわきの下、頸部、鼠径部(そけいぶ:足のつけ根)、腹部、骨盤部に集まっています。脾臓(左上腹部にある臓器)や胸腺(胸骨の裏側にある組織)と扁桃(のどの奥にある組織)もリンパ系の一部です。リンパ球は血液や骨髄の中にも多く認められます。リンパ球は抗体と呼ばれる物質をつくり、身体を細菌やウイルスから守っています。このように、リンパ球はリンパ系の器官や血液や骨髄など全身に分布して感染と戦っています。
このリンパ球の未熟な段階の細胞が悪性化し、骨髄や血液で異常に増加し、急速に進行する病気が急性リンパ性白血病です。急性リンパ性白血病は小児から成人までのどの年齢にも発症しますが、小児に多い白血病です。成人では1年間に約10万人に1人の発症率です。リンパ球の病気には、他に慢性リンパ性白血病や悪性リンパ腫などがありますが、病態や治療法からみて、別の疾患と考えられています(詳しくは「ホジキン病(成人)」、「悪性リンパ腫:非ホジキンリンパ腫(成人)」を参照して下さい)。また、急性リンパ性白血病では成人と小児で治療法などが異なります。
急性リンパ性白血病の原因はまだ明確ではありません。そのため、危険因子や予防法も明らかではありません。
2.症状
白血病細胞は骨髄や血液の中で増殖しますが、白血病細胞の増加による直接の症状はあまりみられません。しかし、白血病細胞が血液の工場である骨髄の中で著しく増加するために、骨髄で正常な赤血球や白血球、血小板が造られなくなります。十分な赤血球が造られなくなると息切れや動悸などの貧血の症状が出現しやすくなります。また、十分な血小板が造られなくなると出血しやすくなり、鼻血や歯肉出血や出血斑などの出血症状がみられます。正常な白血球が減少するために、細菌やウイルスに対する抵抗力がなくなり、発熱や肺炎などの感染の症状が認められます。白血病細胞はリンパ系組織にも集まるために、リンパ節や脾臓がはれることもあります。白血病細胞は、中枢神経と呼ばれる脳や脊髄にも浸潤(しんじゅん:がんが周囲に拡がること)することもあり、頭痛や吐き気などが認められることがあります。この他に骨の痛みや関節痛がみられることもあります。
3.診断
急性リンパ性白血病も他のがんと同様に、早期発見・早期治療が望ましいのですが、初期の症状が風邪や他の病気にも共通のだるさや疲れやすさなどであるため、実際には早期発見は困難です。
疲れやすかったり、熱が長く続いたり、リンパ節がはれたり、出血症状などが認められたら、まず血液検査を行います。血液検査は、主に血液細胞の数とその内容を調べるためのものです。
この結果に異常が認められた場合には、さらに骨髄穿刺を行います。骨髄穿刺は局所麻酔の後に、胸骨または腸骨(腰の骨)に細い針を刺して骨髄液を吸引し、その標本を顕微鏡で観察するものです。この結果から骨髄の異常の有無を診断し、白血病の場合にはその種類を確定します。さらに通常は詳細に診断を行うために、白血病細胞の染色体分析や免疫学的な検査によって、細胞の種類(T細胞性、B細胞性など)を検査します。
中枢神経系(脳や脊髄)への浸潤を確認するためには、腰椎の隙間から針で少量の脳脊髄液を採取します。この液の標本も顕微鏡で見て、白血病細胞があるかどうかを調べます。
4.病期(ステージ)
急性リンパ性白血病には病期の区別はありません。一般的に下記のように分類されます。これは治療法を選択する上で大変重要です。
1)未治療(初発)
未治療(初発)の急性リンパ性白血病とは、症状に対する対症療法(発熱に対する解熱剤など)ではなく、白血病に対する寛解導入治療(抗がん剤による化学療法)が、まだ行われていない場合をいいます。
2)寛解
治療により血液や骨髄の血液細胞の数は正常となり、白血病細胞がほぼ消失した状態をいいます。もちろん白血病に関連した症状は消失します。
3)再発
再発とは、治療によりいったん寛解になった状態から白血病細胞がまた増加した状態をいいます。再発の大部分は骨髄におこりますが、中枢神経系などの骨髄以外にみられる場合もあります。
4)不応性
不応性とは、治療によっても寛解にならず、白血病細胞が残存した状態をいいます。
5.治療
急性リンパ性白血病の治療の主体は、抗がん剤を用いた化学療法および造血幹細胞移植療法です。他に中枢神経系に対する放射線療法が行われることもあります。
1)化学療法
抗がん剤によって白血病細胞を減らす治療法です。抗がん剤には点滴や注射、飲み薬などいろいろな種類があります。化学療法は、治療薬が血管の流れによって全身に運ばれて白血病細胞を殺すため、全身療法といわれています。また、腰から針で脳や脊髄を包む脳脊髄液に抗がん剤を入れる治療法もあり、これを髄腔内注入(髄注)と呼びます。
使用される主な抗がん剤は、ビンクリスチン、プレドニゾロン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、アスパラギナーゼ、シクロフォスファミド、メソトレキセート、メルカプトプリン、シタラビンなどです。抗がん剤による副作用には血液毒性(白血球、赤血球と血小板の減少)と、これに伴う発熱や感染、出血症状などがみられます。また、吐き気や嘔吐、食欲不振、下痢や便秘などの消化器症状や、肝臓や腎臓の障害、心臓の障害、末梢神経の障害(手足のしびれ)、脱毛などがみられます。
髄注では、針を刺した部位の痛みや頭痛、吐き気がみられます。しかし、これらの副作用に対しては副作用の予防法(吐き気止め、白血球増多因子や輸血など)が進歩しており、安全に治療ができるようになってきました。
化学療法による治療は大きく2つの段階に分けられます。最初は寛解導入療法と呼ばれ、寛解を目的に、できる限り白血病細胞を減らします。寛解状態となったら、引き続き第2段階の寛解後療法と呼ばれる治療に入ります。これは、残っている少量の白血病細胞を徐々に減らして寛解状態を維持することと、再発を予防する目的で行います。通常は寛解後療法を1〜2年行います。
2)造血幹細胞移植療法
白血病に侵された骨髄を健康な骨髄に置き換える治療法です。まず、白血病に侵された骨髄を大量の化学療法や全身の放射線療法により破壊し、他の人(提供者:ドナー)の健康な造血幹細胞をもらいます。健康な骨髄はドナーから採取されて、点滴にて投与されます。ドナーは移植を受ける方と一致(あるいは非常に類似)した白血球の型をもっていなければなりません。ドナーは兄弟や双子、また血縁者以外の他人のこともあります。このように兄弟や他人の造血幹細胞を使用する移植を同種移植と呼びます。とくに骨髄バンクによる他人からの骨髄移植を非血縁者間同種骨髄移植と呼びます。
自家造血幹細胞移植も臨床研究が行われています。自家造血幹細胞移植では、あらかじめ自分の骨髄中の造血幹細胞(赤血球、白血球、血小板のもとになる細胞)や末消血液中の造血幹細胞を採取し、凍結保存しておきます。そして大量化学療法や全身に対する放射線療法を施行した後に、この造血幹細胞を点滴で身体に戻します。自家骨髄造血幹細胞移植や自家末梢血幹細胞移植は同種移植のためのドナーが見つからない場合に施行されることがあります。
3)放射線療法
主に中枢神経系の白血病の予防や治療に用いられます。予防として脳や脊髄での白血病の再発を防ぐために、寛解導入療法の際や寛解時に行います。この予防法を中枢神経予防と呼びます。
6.病期(ステージ)別治療
急性リンパ性白血病の予後(治療による今後の見通し)は、どのような種類の急性リンパ性白血病であるか、白血病がどこまで拡がっているか、染色体異常の有無、また年齢や全身の状態などにより異なります。また、治療法は成人と小児でも異なります。
現状では、たとえ急性リンパ性白血病に対する標準的治療を行っても、すべての方が治癒するわけではありません。標準的治療を終了したとしても、その後の再発が半数以上の人に認められます。これらのことから、急性リンパ性白血病のよりよい治療法の開発をめざした臨床試験が世界中で行われています。
1)未治療(初発)例
初回の治療としては、まず化学療法を施行します。中枢神経系の白血病の予防に髄注が行われたり、また頭部などへの放射線治療が併用されたりします。補助療法として、赤血球や血小板の輸血や、抗生物質なども使用されます。
2)寛解期
寛解状態になると、引き続き以下のいずれかの治療が施行されます。
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(1)化学療法および髄注
- 維持療法として化学療法が施行され、適宜、髄注が行われます。この治療は通常1〜2年間行われます。
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(2)自家・同種造血幹細胞移植
- 臓器機能が保たれていて全身状態がよく、年齢が60歳以下の場合に施行されます。
3)再発/不応性
標準的治療の効果があまり期待できないために、新しい抗がん剤または造血幹細胞移植の臨床試験が担当医によって勧められる場合があります。その際は、新しい治療法の内容、期待される効果、おこり得る副作用などについて十分な説明を聞いた上で、その治療を受けるかどうかを判断して下さい。 |
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